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世界の旅日記や 文化、歴史のぷち・エッセイを書いています。他にも海外、国内のお気に入りのドラマのあらすじ&感想を勝手気ままに綴っています。

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ラフカディオ・ハーン;小泉八雲とニッポン

ラフカディオ・ハーン:小泉八雲とニッポン

ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)


ラフカディオ・ハーン=小泉八雲(1850~1904年)54歳没
ギリシャ生まれ。父はアイルランド人の軍医、母はギリシャ人。
ダブリンの、彼が幼少期に住んでいた家が今はゲストハウスになっており、アイルランドを旅した時、その宿に泊まった。ロビーには古い日本の写真が展示されていた。

少年時代は不幸続きである。父の単身赴任から母は精神障害となり離婚。大叔母に引き取られるが破産。父はスエズで病死。16歳の時に事故で片目の視力を失った。 その後、仕事を求めてアメリカへ渡航。ジャーナリストとして、ヨーロッパ、西インド諸島を旅しながら、小説、紀行文などを執筆。
1890年、日本特派員として横浜に到着するが、数か月で契約に不満を持って破棄。
既にアメリカで、渡米中の文部官僚と知り合いになったことが縁で、旧制松江中学の英語教師に赴任。40歳で旧士族の娘と結婚した。 45歳の時に日本に帰化。小泉八雲と名乗り、東京帝国大学で教鞭をとる。同時に教えていた夏目漱石よりも学生には人気があったという。

その間、数々の作品を出版したが、日本人に最も知られている「怪談」を世に出したのは、奇しくも、狭心症で死去する数か月前のこと。 耳なし芳一、雪女、のっぺらぼう、ろくろ首・・など、誰もが子供の頃に聞いた覚えのある怪談話は、彼が民間に伝承されていた話を編集したものである。なるほど、妖精や幽霊話を伝え好むアイルランドの風土ならではの感性が下地にあるからと納得がいった。

小泉八雲も、日本の風土と市井の庶民の心情の機微をこよなく愛した西洋人のひとりである。



ダブリンの、ハーンが幼少期に住んでいた家、現在はゲストハウスに
ラフカディオ・ハーン1

ロビーには古い日本の写真が展示
ハーンの写真たち



高校の時、英語の授業でも親しんだラフカディオ・ハーンは単純にイギリス人だと思っていたのに、アイルランドとギリシャの血が混ざっていたのは新鮮な驚きだった。しかもそんな不幸な過去を持っていたとは・・・。
口語での言い伝えを文字に表すのはとても骨の折れる作業ではなかったかと推測できる。
その情熱はどこから来たのだろう。

私の知っている英・米国人の教師達にしても、世界中を旅して、最後に日本に住むことを選んでくれたことを嬉しく思ったりするが、彼らと話していると本当に物知りで、「日本人は日本のことをこんなに知らないんじゃないか?」と痛感させられたりする。(苦笑)

怪談のじはじめに出てくる、肝試しの滝の話は、自分が中級クラスの生徒達に英語を教えるとき好む教材のひとつだった。
そういえば、ハーンの英文は、アメリカ英語はもちろん、純粋なクイーンズイングリッシュとも違う、独特の個性があった。時代でいえば英語ですらかなり口語体なはずなのに、くせのない、読みやすく均整のとれた文体だったのだ。
彼のその素直な感性とセンスは、「天の川幻想」の英訳でも窺い知ることができると思う。



すばらしい本!!おすすめ。ハーンの怪談



また、ハーンが怪談やspirits,詩を題材に好むのは、アイルランドの風土ならではの感性が下地としてあったからでは、と推測するのだが、ハーンが日本で最初に赴任したのが、奇談、妖精譚の宝庫とも言える山陰で、そこの士族の娘節子と結ばれたことも、作品を生み出す上での重要な下地となったと思える。

妖怪談の大家、水木しげる氏も山陰の独特の風土のなかに生れ育ち、幼い時から妖精や幽霊、妖怪といった不思議な存在を見聞きし、お祖母さんや古老達の話を自ら編纂し、それを絵にして具体化し、一世を風靡した人だった。
彼は片目でなく、片手のない絵画師であった。
現在、山陰の境港市にはテーマパークが出来て、町起こしに寄与しているそうだ。
ゲゲゲの鬼太郎に出てくる妖怪には、日本古来の土着のものに加えて、エキゾチックなものたちもいるが、それらは太平洋戦争中に、水木氏自身が南方戦線に従軍した時に得たインスピレーションから生まれたのだそうだ。
片目、片腕・・ハンディを乗り越えて大成した方々は本当に立派だと思う。
ちなみに、ドン・キホーテの作者ミゲル・デ・セルバンテスは、24歳の時にレパント海戦に従軍して、左腕をなくしている。また、ポルトガルの国民的大詩人ルイス・デ・カモンイスも、25歳の時にモロッコでの戦闘で右目を失明というように。
ハーンにしてもそうだが、名作の陰には一体、どれだけの不幸と苦悩が詰まっているのだろうか。

松江出身の妻節子より、松江・出雲赴任時代に見聞きしたことを中心に書かれたエッセイから、 古い書物にある怪談が、節子を通じてどのように伝承され、八雲の中でどんなものと混ぜて練り直され、再話文学として新しい命を与えられたのかが垣間見られ、怪談・妖精譚をより一層楽しいものにしていると思われてならない。



ハーンとセツ夫人(明治25年5月)
国際結婚したハーンとセツ夫人(明治25年5月)



アイルランド・・日本とはユーラシア大陸の対照地にある、いわば極西の島。
一度行って、勝手に解った気になっていても、結構、懐が深い国である。
アイルランド系でイギリスやアメリカに移住した人々や末裔は、クリエイティブな分野で活躍している人が多いというのも頷ける。

以前、ギリシャの日記で世界的なプリマドンナ、マリア・カラスの名を挙げたことがあるが、ハーンもギリシャ人の母をもっていたとは・・・
マリア・カラス、ギリシャ、小泉八雲・・・ 
連想の糸は、様々な土地や人物像のアラベスクを織り上げていき、 そして、どこかで見えない不思議な縁で結ばれているような気がするのは、秋の魔法だろうか。

さて、当時のギリシャは、トルコから独立してまだ百年も経っていない時代。ギリシャ人といっても、2,3世代前は他国からの移民という事情もあり、トルコ人との混血の人々も多かったようである。
ラフカディオ・ハーンの母方はアラブの血筋にも遡るらしく、彼自身、オリエントや東洋の事物に惹かれる心は、そのせいと自覚していたともある。
その後、アメリカから運命の糸に引かれるように日本の地に上陸。松江で士族出身の妻節子を娶り、その影響で文筆家としても独自の道を歩んでいったのである。おそらく奥方への愛情を通じて、日本の風土そのものも見つめていたのかもしれない。



小泉八雲が日本での最初の1年を過ごした住居。神棚も祭ってあった
小泉八雲が日本での最初の1年を過ごした住居。神棚も祭ってあった



言語学の教授によれば、やはり、アイルランドとイングラントとスコットランドの英語を比べると微妙に違っているそうだ。また、スペイン人の友人が語学研修先としてアイルランドで学んだ経験を話してくれたのだが、物価の安さやカトリックの国であることに加えて、音の響きも古代イベロ・ケルトに通じる遠い響きがあるのかな、と不思議なことを言っていた。
でもこれは決して不思議なことでなく、尤もなことなのかもしれない。
アイルランドというと、日本人ならマイ・フェア・レディのバーナード・ショウを第一に浮かべるだろうか。文学に親しんだ人でも、なかなかアイルランド人と接点を持てる機会は少ないように思う。自分も含めて。

生粋の英国人に言わせると、逆に小泉八雲はギリシャ出身というイメージが強いという。おそらく英語圏の人物らしからぬ名前がそう思わせたのだと思う。
多くの作家は、少年時代に辛酸を舐めていたりするものだ。ハーンも例外なく、ギリシャ人との混血ということ、その父も母子を捨てスエズで客死、また片目というハンディキャップ・・・一見、恵まれた環境に生まれていても、内面的な不幸を体験していることが多いように思える。しかし、それが一方で創作の原動力になっているのかもしれない。 日本語を母国語としていないのに、しかも、40歳前後で日本に移住して学び、これだけの文章を書けたというのも驚異だからだ。文章においては相当の完璧主義者だったらしい。
日本人以上に、日本の文化や情緒、メンタリティを理解していたことを感じるのだ。

まだ世界的には小数派ではあるが、外国人で日本贔屓の方々を大切にしたいものである。



美雨


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