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世界の旅日記や 文化、歴史のぷち・エッセイを書いています。他にも海外、国内のお気に入りのドラマのあらすじ&感想を勝手気ままに綴っています。

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「生きるヒント」カタストロフに寄せる 現代の「歎異抄」

「生きるヒント」 ―― カタストロフに寄せる現代の「歎異抄」――

3.11の東日本大震災から3年経ちました。昨年、被害の酷かった浪江地区から被災した方の生の声を伺う機会があり、その方が困難を乗り越えて、懸命に生きる姿を見て「風化させない」「忘れない」事をこころに誓いました。
その方は、震災で「生き残った」のではなく、「生かされた」のだと仰いました。
どれだけ、その命を重く尊く思われているか計り知れません。

津波の爪痕


本当にこんな時代が来ると思わず、偶然にも、五木寛之さんの解釈による「歎異抄」を読んできました。
そして呑気にも、日記にこんなことを書いていた自分。

・・・人智を超えたカタストロフ(大天災)の中にあっては、おそらく人は、平和時の通常の思考も行動も全く麻痺してしまうーーーーあるいは剥き出しの欲望で行動する獣と化すかもしれないーーーー

そうした絶望的な状況の中で、ひたすら阿弥陀の救いを念じた鎌倉時代の人々の聖者の言葉と解釈をしたためた、五木さんの「私訳・歎異抄」と生きるヒントを、いまこそリフレインしていきたい・・・そう思い、手直ししてもう一度書いてみました。


五木さんの生きるヒント


個人的に好きな作家ではあるけれど、こんなカタストロフが押し寄せる時代に備えるよう天が引き合わせたように、去年五木寛之さんの「蓮如」さんと「歎異抄」を選んで読んでいました。
蓮如につい「さん」をつけたくなるのは、嫁いだ家の先祖が浄土真宗に属していたこともあり、親鸞聖人のいささかストイックな教えを、とても親しみやすく、また現代チックに具現してくれた蓮如さんの生涯に共感を感じるからかもしれない。
ずっと五木さんのシリーズ、「生きるヒント」も読んできたけど、蓮如さんや歎異抄を現代人のフィルターを通して解釈した説法エッセイなのだと今更ながらに気付く。五木氏は、これは人生論ではなく、思想という大げさなものでもなく、生活していくためのちょっとした”ヒント”なのです、と述べています。

今回五木さんは大乗仏教思想の根幹である「浄土」について 大胆な解釈を加えていることから、書籍化前から 議論必至と言われてきました。

――浄土は死後の話ではなく、生きている今、救われていくことと理解する。 親鸞が語ろうとした浄土とは「闇に包まれた私たちの心が明るくされた世界」ではないか――

これは賛否というか議論を呼ぶところでしょう。
また、「善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや」という有名な一節があります。「自力」で善をなそうとする者(善人)より、「他力」(阿弥陀:あみだのはたらき)にすべてを任せる煩悩具足の者(悪人)こそ救われると、逆説的に表現している点。

これはセンセーショナルです。

「 伝統的な解釈を否定するわけではないが、歎異抄は多面的な可能性を持っており、いろいろな問題提起があっていい。現代はいじめや自死の問題なども深刻。時代に迎合するという意味ではなく、『響く言葉』を発信することは宗教者に課せられた宿題だ」
との添え書きも心に響きます。


蓮如さん


ミニ解説
蓮如さんとは・・・500年前に浄土真宗を北陸をはじめ全国に広めた、 「中興の祖」と言われる伝説的人物。
本願寺の法主の庶子として生まれる。卑しい身の上の母の(本妻ではない)子として生まれたため、義母とその息子に本願寺を譲るために、地方へ出されることになる。 けれど結果として、蓮如を慕い信ずる人々、そして、蓮如自身が信ずる事のために、やがては、本願寺法主として、教えを広めていく事になる。 蓮如は、やはり本家親鸞の流れをくんでいるゆえ、悪人正機説にもとずく生き方をしている。
親鸞の、有名な「いわんや悪人おや。」という悪人正機説は、多くの知識人の心を捉えている。


「歎異抄」:たんにしょう→浄土真宗の開祖、親鸞聖人の弟子によって書かれたと言われる仏道の教えを説いた鎌倉初期の書物。


五木さん


女性は四季・奈津子、男性は青春の門で親しんだであろう五木寛之さんが仏教書も執筆しておられると聞いて驚くかたも中にはいるでしょう。
けれど、仏教書とはいっても「蓮如さん」よりもむしろ私訳・歎異抄のほうが、一般人にも解りやすく書いてあり読み易いし、心に染むものがあります。

浄土真宗と言えば、親鸞と「悪人正機説」(→悪人正気説と、字を変えると面白いですね。同じ悪人でも、精神鑑定で罪逃れをする奴ばらは許せません。極悪人でも確かに理性は持っています)が、まず単語として浮かぶわけです。
誰しも、潜在的に悪の心はあるわけで、それを皆が自覚し、傲慢さと偽善を排そうとした意味もあるのでしょう。
悪人でも往生できるのだ・・という、目が覚めるような思い。それは、煩悩多き衆生にあって、いかに大きな救いであることか。かく言う自分も、最後のこの言葉によって、どれほどの重荷が下りることでしょう。

人智を超えたカタストロフ(大災害)の中にあっては、おそらく人は、平和時の通常の思考も行動も全く麻痺してしまうことでしょう。あるいは剥き出しの欲望で行動する獣と化すかもしれません。そうした絶望的な状況の中で、ひたすら阿弥陀の救いを念じる心。それは激動の時代を生きた人間だからこそ、発せられた言葉なのかもしれない・・と思えてなりません。

平安仏教と鎌倉仏教では、微妙に方向性が違っているように思えます。大雑把に言えば、前者は平安末期の戦乱の世相を反映して、現世を諦めてひたすら極楽往生を乞い希う方向へ、後者は自己の主体性の確立という観点に重きが置かれているような気がします。

これをキリスト教に置き換えてみると、カトリックは他力本願的、プロテスタントは自力本願的な要素があるかなと、漠然とながら思います。


タンニショウ



親鸞の生きた時代は、天災、飢饉、また天災という非常に厳しい時代でした。いまの日本の現状とも似通っており、民衆の求める安心とみ仏のこころ=心に響く言葉が、当時仏教の教えに見つけられたのではないかと思います。弾圧を受けながらも、易行の念仏を説いてゆく親鸞の圧倒的な精神の力を強く感じます。

また、五木さんもモチーフとした「蓮如さん」が当時民衆に即した平易で唱和しやすい歌をつくり、 常に底辺の人とともに親鸞の教えをシェアする生き方をモットーとしたように、 親鸞の時代と仏典は同じでも、解釈次第で、時代や背景、救済する層にあわせ説いていったことが、蓮如さんの布教の成功に繋がったと言えるでしょう。
そのときどきに自在性を実行出来る者こそが、真の仏の道を説く救済者となりうる訳です。

そういう点では、いまの五木さんの解釈は「歎異抄」にしてもとても画期的で、時代に即した現代向けの解釈といえるでしょう。
蓮如さんの「聖俗具有」を大切にしながら、現代人の尺度で原典を紐解いて、悩める現代人にも生きるヒントを与える書として、今に通じる歎異抄の言葉「生きるヒント」・・・こんな時だからこそもう一度読み返したいですね。



美雨


抹香くさい日記を頑張って読んでくれてありがとう(涙)
最後まで読んでくれてありがとうネ
蓮如さまより 


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Author:MIUMIU 美雨
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