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世界の旅日記や 文化、歴史のぷち・エッセイを書いています。他にも海外、国内のお気に入りのドラマのあらすじ&感想を勝手気ままに綴っています。

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サマルカンドに花開いたイスラム詩の世界 珠玉の傑作「ルバイヤート」

 イスラム詩の傑作「ルバイヤート」と作者オマル・ハイヤーム


サマルカンド
傑作・ルバイヤートの作者オマルを生んだサマルカンド


「ルバイヤート」を知らない方のために、ぷち・イントロダクション。

「ルバイヤート」は、11世紀の数学者で天文学者にして科学者である、オマル・ハイヤームの4行詩集です。英国の詩人フィッツジェラルドの超訳によって英語圏に紹介され、一躍全世界にその名を轟かせました。

オマル・ハイヤームは中世西アジアで屈指の数学者で、三次方程式の解法を最初に発見し、インド数学の紹介をしたと言われる人物です。
しかし「ルバイヤート」自体はあくまで文学作品であり、数学者・天文学者・思想家であったオマルが息抜きとして書き溜めたものという解釈が一般的なようです。もっとも詩中にもときどき当時の形而上学的な概念を暗示するような語句は出てきますが。
例えれば、
『めぐる宇宙は廃物となったわれらの体躯』
オマル・ハイヤームのあまりにも有名な一節です。


以前、遠山啓の『数学入門上・下』を読んでいましたら、代数学の起源としてルバイヤートの話が載っていたので驚いた記憶があります。


ルバイヤート書籍2


思えば、ルバイヤートの出会いは「詩とメルヘン」でした。
但し、自分がそれを見たのは中学の頃だと記憶しているので…今からウンdecades前のことになりますか(恐ろしい)。
まず、挿絵(確か、エドマンド・デュラック)がとても綺麗で、ひと目で虜になったものです。
そして、今になって思えばその訳詩の素晴らしかったこと。どなたの訳だったのかな?と今でも時々思うことがあります。
朧げに覚えているのは「気を付けて 薔薇がしゃべってる」という一節のみではありますが・・。


少年少女世界の文学42巻より
少年少女世界の文学42巻より


さて、数学者天文学の権威であったはずの彼が最も愛したのは、酒と詩でした。
もっとも、数学者としてのオマルより、イスラム世界珠玉の詩集「ルバイヤート」の作者としての知名度のほうが圧倒的に高く、彼の名とその詩集「ルバイヤート」は世界史の教科書にも載っている位ですから・・。

教育者であり、敬虔なマホメット信者であるはずのオマルが愛した”酒と詩”を最も顕すものに、こんな詩があるのでご紹介しましょう。


「死んだら湯灌は酒でしてくれ、
野の送りにも掛けて欲しい美酒(うまざけ)。
もし復活の日ともなり逢いたい人は
酒場の戸口にやって来ておれを待て」


なかなか粋な詩です。(爆笑)
酒飲み人生の見本として、オマルは遺言にこれを書いていったのではないでしょうか。
オマル師の投げやりで 極めて人間的なところに共感します。


デンマーク語に翻訳されたルバイヤート
="デンマーク語に翻訳されたルバイヤート


ちなみに、美雨がルバイヤートの中で一番好きな詩。


「ないものにも手の中の風があり、
 あるものには崩壊と不足しかない。
 ないかと思えば、すべてのものがあり、
 あるかと見れば、すべてのものがない。」
(ルバイヤート第106詩 岩波文庫でいうと85ページ)


なんだか、スフィンクスの謎かけのような詩です。
プッチーニのオペラ・トゥーランドットに出てくる、「謎は三つ、死はひとつ」を彷彿とさせる詩ですね。
案外、トゥーランドットの台本劇作家ゴッツィ は、オマルの「ルバイヤート」の謎かけ詩を参考に、あの三つの謎かけをモティーフにしたのかもしれない、と美雨は考えてしまいます。

下記が、トゥーランドット姫が求婚者カラフ王子(ティムールの王子)に出した問題です。

問題
①人々はそれを叫び、それを求める。夜ごとに生まれ、夜明けと共に死んでいく、それは何か?
②炎のようで炎でない。お前が死なば冷たくなる。燃えあがるが火ではないものは?
③お前の心に火をつける氷とは?

「謎は3つ、死はひとつでございます。」美しい顔をしたトゥーランドット姫が言い放つ。


この台詞のとおり、謎を解いた者には、至福の喜びが。 相反し、解けぬ者は非業の死が待ち受けている、恐ろしい物語でしたが。


ちなみに、正解は

①「希望」
②「血潮」
③「それは...トゥーランドット!」でした。


余談ですが、ないものにも手の中の風があり・・・この詩は、お釈迦様の言葉とも被っているようです。確かに、孫悟空の、お釈迦様の掌のエピソードを思いおこさせます。聖人の言葉は普遍的な拡がりを以って、ガンダーラ世界からサマルカンドまで、思想を共有していたのかもしれませんね。


ルバイヤート初版本の復元
ルバイヤート初版本の復元


もうひとつ。
ルバイヤートほど、訳者によって全くと言ってよいほど語句とイメージが変わってしまう詩も無い気がします。たとえば、彼の代表作『愛しい人よ』の一節ですが、比べてみても、そのほどがわかるでしょう。

同じ73歌 『愛する人よ』

★By井田俊隆訳
愛しい人よ!おまえと私ー〈運命〉を味方につけて
この世の哀しい仕組みが つかめたら、
その仕掛けを すっかりばらし
「心の願望」に添うて 造り直したいこの世界

★Byフィッツジェラルド~秋国忠教訳
ああ愛する者よ、おまえとふたりで宿命と謀って
事態のこの情けない仕組みをそっくり捕らまえることができたなら
  それをいったんばらばらに砕いてーそれから
もっとこころの願いに添うように新たに作り直したいものを。



・・・こうして読んで比べてみても、
運命と語らうのか、運命を味方につけるのか、宿命と謀るのか
それぞれイメージするものは随分違うような気がしませんか?

ルバイヤートは本当に沢山の人が訳しているので、新しい訳本に出会う度に欲しくなってしまいます。
フィッツジェラルド~秋国忠教訳はやはり必読のスタンダードだと思いますが。

お酒を飲みながらオマル・ハイヤームを偲んで、ルバイヤートを読む…というのもいいですね。
不謹慎かもしれませんが、本来それが一番ハイヤーム師が喜ぶ真骨頂な気もします。




美雨


❤ポチしてってくれるとオマル嬉しいなあ♪❤
オマル・ハイヤームが生きた時代 サマルカンドについて記された本
上↑『サマルカンド年代記』挿絵を通して、オマル・ハイヤームのの 時代と、
イラン立憲革命時代を描いた小説『サマルカンド 年代記』(アミン・マアルーフ著)
こちらも大変面白いです。


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