美雨の部屋へようこそ

世界の旅日記や 文化、歴史のぷち・エッセイを書いています。他にも海外、国内のお気に入りのドラマのあらすじ&感想を勝手気ままに綴っています。

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ニコライ堂と 聖者ネクタリオス 不思議なデジャヴュ 

ニコライ堂とエギナ島の聖人ネクタリオスのデジャヴュ 
       ~エーゲ海サロニコス湾、ギリシャ~


ニコライ堂です
ニコライ堂:ギリシャ正教教会


聖者ネクタリオスの本題に入る前に、小さなわたしの人生のひとこまのつぶや記から。

あれは、生まれて初めて大きな手術を受けたときでした。
絶望感にうちひしがれて二週間入院していたときからはじまります。
というより、フィードバックしていくエピソードなのですが。

リンゴーン、リンゴーン、カラーン、カラーン・・・大小合わせて二つの鐘が鳴っています。  
なんて美しい唱和でしょう。
まるで仏か聖人の錫杖の響き。

あれはニコライ堂の鐘。

いつもは聞こえないのに。そうか、今日は日曜のミサがあるのね・・・
御茶の水には楽譜屋や楽器屋によく立ち寄るのに、初めてこのニコライ堂の鐘の音を意識しました。
私にとっても、この鐘は少なからずご縁があるのです。

父と母が初めて出会った御茶の水。父は患者で、母はナースでした。
父のおのろけなど聞きたくもないのに、白衣の天使姿の母に父は一目ぼれだったそうで、もうこのひとしかいない!と思ったそうです。学生だったくせに、退院までに連絡先と初デートの約束をとり着け、あの勤勉で照れ屋の父をそこまで後押ししたのは、ニコライ堂の鐘だったのかもしれません。
ふたりのなれそめやデートのおのろけ(?笑)話には、決まってこのニコライ堂の鐘が登場します。
あの鐘の音、本当に綺麗なんだ、なんとも言えず心打たれるんだ、と。
きっとプロポーズの言葉も、この鐘の敬虔な響きをバックに、後押ししてもらったに違いありません。
まるで魅入られるままに聖なる空間に迷い込んでしまったかのような、そんな響きがこの鐘にはあります。

不思議です。二人を結び付けた御茶の水の病院で、二人を結び付けた鐘の音を聞きながら、こうして、この鐘の落とし子みたいな自分が時空のはざまで傷付いた体を鐘に癒してもらっているなんて・・・


ライトアップされたニコライ堂
ライトアップされたニコライ堂


手術も無事成功し、退院前日、病院で杖を借りてすぐ裏手のニコライ堂の鐘に「お世話になりました」と挨拶をしに行ったときのことです。
聖堂はきらびやかすぎて拝観するのは気がひけたのですが、私の杖が目だってしまったのですね、親切な神父の奥様らしきが(ロシア、ギリシャ正教は妻帯が可)「あなた、どうぞこちらへいらっしゃいな!」と流暢な日本語で祭壇の前にほとんど無理やり案内されてしまいました。キリスト(ギリシャ語でハリストス)やマリアの壮麗なイコン画や、ドームから差し込む七色に反射するステンドグラスの柔らかな光をうっとり眺めていたら、「この聖者にお祈りなさるといいわ。」とひっそりした小さな空間にある祭壇に導かれました。


    Saint_Nektarios_of_Aegina_Icon1.jpg       教会のろうそく 


名前は聖ネクタリオス。
昔の聖人っぽくないし衣装もいまふうのユダヤ僧みたい。ここだけ浮いてて、へんな顔をしたイコン画。
「あのー、聞いたことがないのですが、どんな聖人なのですか?」
「実は私もさほど詳しくないのよ、ほほ。でも、病気を治す奇跡の力があったそうよ。退院したらネットで調べなさるといいわ」と屈託なく笑う夫人。
「はぁ。」

ということで、早速調べてみました。えっと、桃のドリンクみたいな名の聖者だったなーなんて軽い気持ちで。
...びっくり!
この聖者の庵(いおり)に、私は以前訪ねていたのです。
そうだ、あれは南回り14日行程のヨーロッパ線だった...
アシスタントパーサーになるちょっと前だったかしら。
香港、バンコク、デリー、(カラチ)orバーレーンから引き継いだ機材の最後の中継地、アテネに長期滞在したとき、crew(乗務員)みんなで観光したギリシャ日帰りエーゲ海クルーズの最初の島だ...!あれはサロニコス湾内のエギナ島、そういえば船のガイドのおじちゃん、すごいギリシャ訛りの英語で、アラブからピスタチオを初めてギリシャに持ち込み植えた聖者がいたって話してたな...そうか、それがネクタリオスだったんだわ!


nektarios Domo
エギナ島、聖者ネクタリオスの祀られる教会


ここで、聖者ネクタリオスについて少し。
1846年10月1日生まれのネクタリオスは、エギナ島とはほど遠いトラキアのシリヴリアに生まれました。家は貧しく、14歳のとき、働きながら教育を受けるためにコンスタンディヌーポリに移住し、努力のかいあって1866年からはキオス島の学校で教員となります。キオスには7年間住み、30歳で修道士となった彼はその勤勉さで、3年後に輔祭となり、ネクタリオスの名を与えられる。そして働きながら1885年にアテネ大学を卒業。大学時代から既に聖書註解を含む多くの著述を行っています。

優秀な彼は若くしてアレクサンドリアで司祭に叙聖され、名誉あるカイロの教会に奉職し、1889年には敬神の念と説教者としての実力、牧会能力が評価され、総主教ソフロニオスによりペンタポリス府主教に叙聖されます。けれどネクタリオスの人望が高まるにつれ反比例するように彼の声望を妬む聖職者達によって悪いゴシップを流され続け、ついに総主教ソフロニオスまでが偽りの噂を信じ彼をエジプトから追放してしまいます。そこでネクタリオスは1891年にギリシャに戻り、説教者として、また教会学校の校長務めるなどして20年近くを過ごします。


ネクタリオスの右手の遺骨が納められた銀製の櫃
この銀製の箱には、アギオス・ネクタリオスの右手の遺骨が納められています。この箱に触れると生涯、健康が保たれると言われています
触れると生涯、健康が保たれると言われている


そして、1904年にエギナ島に女子修道院を設立し、神学校校長の職を辞したあと、その女子修道院に一修道士として隠棲しエギナ島を ついのすみかとします。退職したあとも、1920年に最期をむかえるまで彼は著述を行い、人々の痛悔を聞いていました。

彼は近代の聖人なので記録も信憑性がありますが、生前も永眠後も、ネクタリオスの傍らで、重病人が快癒する奇跡が多く起きて、彼の埋葬式には多くの人がギリシャ・エジプト全土から訪れたといいます。1961年4月20日に列聖。生前からネクタリオスを聖人とみる人々が多かったのですが、正式な列聖はこの日に行われました。

彼を妬み疎んじて追放したエジプトの民たちが、カイロ、アレクサンドリアの教会でなく、はるかエーゲ海の、遠くひなびたエギナ島の小島にひっそりと眠るネクタリオスを訪ねて病気平癒の祈りに訪れるだなんて、なんだか歴史の皮肉を感じますね。


エギナ島 アフェア神殿
エギナ島 古代に建造されたアフェア神殿


しかしながら、当時私が覚えていた彼というか島の記憶は、食べて美味しかったピスタチオを植えた聖者、という肩書きのみで、近代に建てられたというそのビザンチン様式の新しくピカピカのネクタリオス修道院よりは、もっと古代のアフェア神殿の方にあったのです。 節操がないようだけど、私は神殿も修道院も、両方好きなので困ったものです。

祈るのが好き。人が祈るのを見るのも好き。

もちろん、古代の神殿でも、ネクタリオスの殿堂でも祈っていました。
けれど、それは...未来の自分の体を癒すための祈りであったのかもしれない。いま本当にそんなふうに思えます。時間と空間を超えて、あのとき祈っていた自分の映像が、鮮やかによみがえる。すべてに意味があり、すべてが繋がっている。
ニコライ堂がこんなふうに自分を呼んでいたなんて。
単なる偶然と他人は笑うことでしょう。でも、これは私と聖者ネクタリオス様だけの、時空を超えた魂の会話。それでいい。そう思って誰にも告げませんでした。

秘密にしておいた聖者との内緒話を、今日このブログで打ち明けてみます。



美雨


ネクタリオスのピスタチオナッツ。カリポリ、やめられないとまらない(>_<)
ピスタチオナッツ
今日も読んでくれてありがとう


※都合によりトラバ欄のみの開放にさせていただきますm(__)m

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Author:MIUMIU 美雨
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