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世界の旅日記や 文化、歴史のぷち・エッセイを書いています。他にも海外、国内のお気に入りのドラマのあらすじ&感想を勝手気ままに綴っています。

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鳥と話す聖人 フランチェスコ  ~アッシジを訪ねて~

鳥と話す聖人 フランチェスコ  ~アッシジを訪ねて~
      


アッシジ2


この街を語らずしてフランチェスコは語れぬであろう、彼の生まれ故郷アッシジ。
映画”Brother sun and Sister moon"でもお馴染みの、かの聖フランチェスコの生まれ育った街です。
キリスト教の聖人の中で、聖ヴァレンタインと同じくらいかそれ以上の人気を持つフランチェスコについて、あれこれ詳細を語るのも野暮なことかもしれませんが、こんな優しい秋風が吹く日に思い立って訪れ、こころで対話したフランチェスコついて、また私の経験したいろんなアッシジを書いてみたくなりました。

彼は愛と平和の聖人。
”Brother sun and Sister moon"の言葉通り、太陽を兄弟、月を姉妹と呼び、自然の全てを愛した稀びとです。


アッシジ1


元々は富裕な商人の息子として生まれ、贅沢な生活を堪能していた放蕩息子でした。しかし、初陣を飾るはずのペルージャとの戦場で捕虜になり、牢獄で病気になりました。 彼は親の金で解放されましたが、それまでの裕福な生活に疑問を持ち始め、世の矛盾と対面し、病人や貧しい者への憐れみを持ち始めました。
その後彼は、アッシジの朽ち果てたサン・ダミアーノ教会で神の声を聞いたのです。

「壊れかけた我が家を建て直しなさい」と。

この時、彼は25歳。
父から譲り受けた財産を全て人びとに施し、相続権も放棄し、家族に別れを告げ、荒布を身にまとい貧民の暮らす地区で、謙虚で清貧な日々を始めたのです。

彼はこの生活を44歳で亡くなるまで貫き通しました。
彼は常に己を小さくし、清貧とシンプルさを望みました。常に祈りの中にいる人であり、ひたすらイエスと一致することを祈り続け、最期にはキリストの聖痕を受けたと伝えられています。

また、鳥などの動物と話が出来た稀びとでした。


カラヴァッジォ作(アッシジ聖痕を受ける聖フランチェスコ
カラヴァッジォ作 アッシジ聖痕を受ける聖フランチェスコ


こんな気持ちの良い秋風が吹き始めた、ある日のことでした。
ある人生の転機にひとつの選択を迫られて、何故かフランチェスコにいざなわれるように、あの聖者の街へ一人で旅に出たあの日あの時を思い出しました。

アッシジ。

ここは、イタリアでは珍しいほど、泥棒がいません。聖者のまちですから。
隣のトスカーナの田園もみな美しいけれど、とりわけここアッシジの美しさときたら、筆舌に尽くしがたいものがあります。
陽の光さえ、全くほかとは違う聖なる美しさを感じます。小高い丘の緑の流れる稜線、囀る小鳥たちの合唱が耳に優しいオリーブと杉の木立、教会に立ち込める朝靄ーーー全てが、ここでは神の祝福を受けて輝いています。私はクリスチャンではないけれど、ここでは全てが神いますところの神霊スポットであることが、五感というか、魂レベルで感じられるのです。


鳥と聖フランチェスコ


フランチェスコは、大好きな自然のなかでも、とりわけ鳥の好きなひとでした。
フランチェスコがよく口にした聖書の言葉「空の鳥を見よ。蒔きも刈りも、倉に収めもしないのに、あなたたちの天の父はそれを養って下さる。‥‥‥野の百合がどうして育つか見よ。苦労もせず、紡ぎもしない。‥‥‥今日は野にあり、明日はかまどに投げ入れられる草をさえ、神はこのように装わせて下さる‥‥‥だから何を食べ、何を飲み、何を着ようかと心配するな。(マタイ伝 6・26-31)」

この言葉は、彼の思想そのものです。


鳥と聖フランチェスコ2
ジォットーのフレスコ画:小鳥に説教する聖フランチェスコ


上は聖フランチェスコの自然への思いと鳥たちへの愛着を語るのにもっとも貢献したであろう、有名すぎるジォットーの壁画。
アッシジを旅したとき、フランチェスコの生涯だけでなく、フランチェスコを描いたジォットーの芸術に触れたくなったら、パドヴァのスクロヴェーニ礼拝堂に行かれることをお勧めします。

余談になりますが、イタリア人の知人がスクロヴェーニ礼拝堂のすぐ近くに住んでいて、博物館の中にも案内をしてくれた時のことをつい昨日のように思い出します。
ジォットーのあの36場面にわたるキリストの生涯は圧巻そのもので、アッシジの彼の初期作品と比較してみると、やはりズッシリと円熟した技量が感じられます。
ビザンツ様式の色濃かった当時のフレスコ画としては、ルネサンスの色とひかりを確かに感じられる作品です。

ただし現在は予約が必要です。
フランチェスコを描いた同じジォットーでも、スクロヴェーニのそれは、湿度.温度のコントロールを厳密にしており、訪問時間もたったの15分。予約が必須で、前室でありがたくビデオを観てから(5年前にはありませんでした)、教会に導かれるシステム。なにげにこういうところ、歴史的名所では多くなりましたね。
まるでテーマパークのような仕切り具合。
おおらかなアッシジの空気と比べると、少し肩がこってしまうのは、わたしだけでしょうか。


スクロヴェーニ礼拝堂
スクロヴェーニ礼拝堂 外から

スクロヴェーニ2
スクロヴェーニ礼拝堂内部


ルネサンス初期の絵画美術的遺産としてはなんといってもスクロヴェーニなのでしょうが、アッシジのいつ朽ち果ててもおかしくない色あせたフランチェスコの鳥と戯れる初期のフレスコ画がやはり好きな私って、変わり者のでしょうか。(笑)
アッシジは、わたしの第二のこころの聖地なんですね。

聖フランチェスコ教会の広場で感じる朝陽も夕陽も、とても澄んでいて、身も心も洗われるというのは、こういう心境なんだな、と、滞在した誰しもが一様に言いました。

1997年9月、アッシジはウンブリア州を襲った2度の大地震に見舞われ、壁画もだいぶ傷んだそうですが、ボランティアによる修復工事により、3年後には2000年にはほぼ元の形にもどり、見ごたえ十分です。

イタリアはそのもの自体、生ける文化遺産みたいなところですが、とりわけアッシジは、まだフランチェスコや聖人たちが手に手を取り合って徘徊しているような、そんな敬虔さを感じる街です。 とにかく、自然がとりわけ美しくて。
聖書の風景って写真集あったら、そのまま出てきそうな、そんな風情。
筆舌に尽くしがたい、という言葉がありますが、ああ、本当に、私の筆と舌では1/10も言葉で表現出来ない自分がもどかしい。


アッシジの朝
朝靄の聖フランチェスコ教会


あの日あの朝、私はフランチェスコ教会の地下室の祭壇へ。
彼の墓がある地下室でもあります。祭壇には、彼の好きな白い百合の花が飾られていました。
ずっと目をつむり、長いこと対話をしました。
フランチェスコは、私にも答えをくれたのです。


あのときの、漂ってきた美しい白ゆりの匂いを、いまだ忘れることができません。




美雨


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Author:MIUMIU 美雨
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